介護相談窓口設置の趣旨 — 仕事と介護の両立支援
総務省の調査では、家族等を介護しながら働く人は約365万人、この5年間で20万人近く増加しています。また、年間約10万人が介護を理由に離職しています。特に40代から50代にかけて離職者が増加し、介護離職が世帯の経済状況に大きな影響を与えることがわかっています。また、介護が始まる時期と仕事のキャリアの重要な時期が重なることが多く、キャリア形成の障害にもなっています。このため、国は企業に対して介護に関する相談窓口の設置や相談対応体制の整備を奨励・義務化しつつあり、介護離職の防止を目的としています。
2025年4月1日施行の育児・介護休業法の改正では、介護休業や介護両立支援制度を利用しやすい環境整備が事業主(企業)の義務として明確化されました。具体的には、以下のような措置が挙げられています。
事業主が講じるべき介護両立支援の措置の例:
- 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
- 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
- 自社の介護休業取得事例の収集・提供 など
つまり企業は、介護休業制度等の周知・説明のみならず、従業員が相談できる体制を整える措置の1つを選択し実施しなければならないということです。これにより、介護に関する窓口も企業内で確立されることが求められています。法改正対策を機に新たな制度やルールについて労働者に周知することや、介護を行う労働者に対して適切に配慮できるように、社内研修などを通じて啓発を行う相談窓口や担当者の設置、周囲のサポート体制、制度を活用しやすい環境つくりも整備できると良いでしょう。また、介護休業からの職場復帰後においても、介護休暇、所定労働時間短縮、所定外労働の制限等を活用することで、負担を軽減することも大切でしょう。
終わりに
介護と仕事の両立は、もはや個人の課題ではなく、会社全体、社会全体で取り組むべき重要なテーマになっています。
2020年の厚生労働省のアンケート調査では、介護を理由に仕事を辞めた後の自身の変化では、「負担が増した」と回答した割合は、精神面肉体面では50%超、経済面では70%近くに登りました。いずれも負担が減るのではなく、むしろ増したとの回答の割合が高くなっています。仕事と介護の両立に関するポイントとしては、
「介護する側の健康と時間も大切にする」
「一人でかかえこまない」
ということが大切です。一人でかかえこまないことについては、家族で相談する、かかりつけ医、地域包括支援センターなどの相談先を持っておくことが重要です。社内では、上司や制度に詳しい人事部や総務部、相談窓口への相談することをおすすめします。会社の外部の窓口としては、以下のサイトでも相談窓口や制度についての情報が提供されています。
厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/
東京都産業労働局 https://www.katei-ryouritsu.metro.tokyo.lg.jp/kaigo/
出典
総務省 2022年就業構造基本調査
厚生労働省 2019年仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業
厚生労働省リーフレット 育児・介護休業法改正のポイントhttps://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf
